叢生

当院では、「歯並びがガタガタしている」「前歯が重なっている」などのお悩みを多く伺います。これらは歯科医学では「叢生(そうせい)」と呼ばれる状態です。

叢生とは

叢生とは、歯が重なり合ってガタガタと並んでいる状態のことです。前歯が重なっていたり、歯が回転していたりと、その現れ方はさまざまです。歯並びが乱れている状態全般を指しますが、特に前歯部分の乱れが目立つことが多いです。

叢生は大きく分けて以下の3つのタイプに分類されます。

①軽度叢生:歯の重なりがわずかで、見た目にもそれほど目立たないもの
②中等度叢生:歯の重なりが明らかに見られ、いくつかの歯が回転している状態
③重度叢生:歯の重なりが著しく、多くの歯が回転したり、歯列の外側や内側に位置したりしている状態

叢生は日本人に非常に多く見られる歯並びの問題です。現代人の約80%が何らかの叢生を持っているとも言われており、決して珍しいものではありません。

叢生の原因

叢生が起こる原因はさまざまですが、主に以下のような要因が関係しています。

顎の大きさと歯のサイズのバランスが悪い

最も一般的な原因は、顎の大きさに対して歯が大きすぎる、あるいは顎が小さすぎることです。現代人は昔の人に比べて顎が小さくなる傾向がありますが、歯の大きさはあまり変わっていないため、すべての歯がきれいに並ぶスペースが足りなくなり、叢生が生じやすくなっています。

乳歯の早期喪失

子どもの頃に虫歯などで乳歯を早くに失うと、永久歯が生えるためのスペースが失われることがあります。その結果、後から生えてくる永久歯の場所がなくなり、他の歯と重なって生えてくることがあります。

歯の早期接触と移動

乳歯から永久歯への生え変わりの際、永久歯が正しい位置に生えてこない場合があります。また、すでに生えている歯に対して新しく生えてきた歯が押し合うように接触すると、徐々に歯が移動して叢生につながることがあります。

口呼吸や舌の癖

日常的に口で呼吸する習慣(口呼吸)や、舌を前に押し出す癖(舌突出癖)などがあると、歯や顎の正常な発育を妨げ、叢生の原因となることがあります。

遺伝的要因

顎の形や大きさ、歯のサイズなどは遺伝的な影響を受けます。両親のどちらかに叢生がある場合、子どもにも叢生が現れやすい傾向があります。

食生活の変化

柔らかい食べ物が多い現代の食生活では、顎を十分に使わないため、顎の発達が不十分になりやすいです。顎の筋肉をしっかり使う硬いものを噛む機会が減ったことも、顎の小型化と叢生の増加に関係していると考えられています。

叢生を放置するデメリットと治療するメリット

叢生は見た目の問題だけでなく、お口の健康や全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。治療することで得られるメリットと放置するデメリットを理解しましょう。

放置するデメリット

1. 虫歯・歯周病のリスク増加

歯が重なっていると、歯ブラシが届きにくく、歯垢(プラーク)や食べかすが溜まりやすくなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

2. 咀嚼(そしゃく)機能の低下

歯並びが悪いと、食べ物を効率よく噛み砕くことが難しくなります。これにより消化不良を起こしたり、栄養吸収に影響を及ぼしたりする可能性があります。

3. 発音への影響

特に前歯の叢生がひどい場合、「サ行」や「タ行」などの発音がはっきりしなくなることがあります。

4. 顎関節への負担

不適切な噛み合わせは、顎の関節(顎関節)に過度な負担をかけることがあります。これが原因で顎関節症を発症し、顎の痛みや開口制限などの症状を引き起こすことがあります。

5. 歯の摩耗と破損のリスク

歯が重なっていると、特定の歯に過度な力がかかりやすく、早期の摩耗や欠けのリスクが高まります。

治療するメリット

1. お口の健康改善

歯並びが整うと歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが低減します。

2. 咀嚼機能の向上

適切な噛み合わせにより、食べ物をしっかり噛み砕けるようになり、消化や栄養吸収が改善します。

3. 発音の明瞭化

歯並びが整うことで、特定の音の発音が改善することがあります。

4. 顎関節への負担軽減

適切な噛み合わせは顎関節への負担を減らし、顎関節症のリスクを低減します。

5. 歯の長期保存

歯に均等に力がかかるようになるため、特定の歯の摩耗や破損のリスクが低減し、歯の寿命が延びる可能性があります。

当院で行う治療

当院ではまず詳細な検査と診断を行い、レントゲンや口腔内写真、歯型などをもとに、患者さんの状態を総合的に評価します。その上で、年齢や希望、ライフスタイルなども考慮し、最適な治療計画をご提案します。
治療中は定期的な調整と経過観察を行い、必要に応じて計画を微調整しながら進めていきます。また、治療後も定期的なメンテナンスを行い、美しい歯並びを長期的に維持できるようサポートします。

よくあるご質問

Q治療は何歳から始められますか?

A叢生の治療は、原則としていつからでも始められます。ただし、子どもの場合は永久歯が生え始める7〜8歳頃から評価を始め、適切な時期に治療することをお勧めします。大人の場合は、歯と歯ぐきが健康であれば年齢に関係なく治療が可能です。当院では小さなお子さんから高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんの治療を行っています。

Q治療期間はどのくらいですか?

A治療期間は症状の程度や選択する治療法によって異なります。一般的には、軽度の叢生であれば約6ヶ月〜1年、中等度から重度の叢生では1〜3年程度かかることが多いです。初診時の診断で、おおよその治療期間をご案内いたします。

Q保険は適用されますか?

A一般的に、成人の叢生に対する矯正治療は保険適用外(自費診療)となります。ただし、顎の発育に関わる重度の不正咬合と診断された場合、18歳未満であれば一部保険が適用されることもあります(厚生労働省の基準による)。詳しくは初診時にご説明いたします。

当院では、叢生でお悩みの方に対して、丁寧なカウンセリングと最適な治療計画をご提案しています。見た目の悩みだけでなく、お口の健康も含めて総合的に改善することで、患者さんの生活の質の向上を目指します。叢生に関するお悩みやご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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