開咬

前歯で物を噛み切れない、口が閉じにくいなどのお悩みはありませんか?このような症状は「開咬(かいこう)」という状態かもしれません。このページでは開咬についてわかりやすく解説し、治療法についてご紹介します。

開咬とは

不正咬合の一種である「開咬」は、上下の歯の間にすき間が開いている状態を指します。通常は上下の歯がしっかりと噛み合いますが、開咬の場合は前歯部分が接触せず、「前歯で物を噛めない」「前歯で発音する瞬間に息が漏れる」などの問題が発生します。
開咬には主に以下の種類があります。

①前歯部開咬:前歯の部分のみ隙間がある状態
②側方開咬:奥歯や横の歯に隙間がある状態
③全体的な開咬:ほぼすべての歯に噛み合わせの隙間がある状態

このうち最も一般的なのは前歯部開咬です。笑ったときや話すときに見える部分に隙間があるため、見た目の面でも気になることが多いタイプです。
開きの程度はさまざまで、軽度のものは数ミリの隙間の影響しかなく日常生活へのものも少ないですが、重度になると1センチの隙間ができ、食事や会話以上に大きな会話ができます。

開咬の原因

開咬が生じる原因はいくつかありますが、主に以下のような要因が関係しています。

口腔習慣や癖

日々の習慣や癖が原因になることが多いです。

指しゃぶり:

なんとなく続く指しゃぶりの習慣は、前歯を押し出す力が働き、開咬の原因となります。 特に2〜3歳を過ぎても続く場合は注意が必要です。

舌の癖(舌突出癖):

舌を前歯中に押し出す癖がある場合、前歯に常に圧力がかかり、徐々に前歯が押し出されて開咬の状態になることがあります。

口呼吸:

鼻ではなく口で呼吸する習慣は、舌の位置や口の周囲の筋肉のバランスに影響を与え、開咬を引き起こす要因となることがあります。 アレルギー性鼻炎などで鼻呼吸が難しい場合に口呼吸が起こることもあります。

姿勢の問題:

猫背など姿勢の悪さも、長期的には顎の位置や口周りの筋肉に影響を与え開咬につながることがあります。

顎の成長

顎の成長バランスが悪く、特に後方の顎が過剰に成長すると、開き噛みが起こることがあります。

開咬を放置するデメリット

見た目だけでなく、機能面や健康面でも影響が出ることがあるため、適切な治療を検討することが大切です。

咀嚼(そしゃく)機能の低下

咀嚼機能が低下すると食事に影響を与えることがあります。前歯で食べ物を噛み切ることができないため、食事に時間がかかったり食べにくい食材を避けたりするようになり、食べにくさから食事の楽しみが減少し食生活が制限されることがあります。

見た目への影響

開咬がある場合、唇を閉じるのに余裕のある力が必要になることがあり、安静時でも口が開いた状態になりがちです。

顎や関節筋肉への負担

前歯が接触しないため奥歯に過度な負担がかかり、顎関節や咀嚼筋に問題が生じるリスクがございます。このような咬み合わせのバランスの崩れが続くと、顎関節症を発症するリスクが高まり、顎の痛みや開口制限などの症状が現れることがあります。

口腔衛生の問題

歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい場所ができ虫歯や歯周病のリスクが高まり、また口呼吸の習慣がある場合は口の中が乾燥しやすくなることで口臭の原因になることがあります。

開咬のよくあるご質問

Q開咬の治療は何歳から始められますか?

A開咬の治療は、原因や症状によって開始時期が異なります。舌の癖や指しゃぶりなどの習慣が原因の場合は、初期(5〜8歳頃)から介入することで効果的に改善できることがあります。成長期(10〜14歳頃)に治療を始めることも多いですが、成人になってからでも治療は可能です。初期に気づくほど、比較的シンプルな治療で改善できる可能性が考えられます。

Q矯正治療の期間はどのくらいですか?

A開咬の治療期間は、症状の程度や原因、年齢、選択する治療法によって異なります。一般的には、軽度の開咬で約1〜2年、中等度から重度の開咬では2〜3年程度かかることが多いです。

Q開咬の治療中は痛みがありますか?

A矯正装置の装着直後や調整後には、一時的な不快感や軽い痛みを感じることがありますが、通常は数日で慣れてきます。痛みの程度は個人差がありますが、一般的な鎮痛剤で対応できる程度です。

Q開咬の治療は保険が適用されますか?

A開咬の矯正治療は、症状の程度によって保険適用の判断が異なります。 重度の咬合異常(厚生労働の基準による)と診断された場合、18歳未満であれば保険が適用されることがあります。 ただし、多くの場合、矯正治療は保険適用外(自費診療)となります。

咬み合わせというのは、なかなかご自身ではわからないものです。出っ歯や八重歯のように外見に出やすいものはわかると思いますが、開咬の場合は違和感がなければ自分は「不正咬合だ」と気づかないまま過ごしてしまうことも多いです。そのためもし「奥歯ばかり使っていて顎が痛い」「前歯で食べ物が噛み切れない」など、「噛む」ということにお悩みがあればまずは一度ご相談にお越し下さい。

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